2017年6月29日木曜日

セルフケアと再発防止

 じめじめと蒸し暑い日が多くなってきましたね。本格的に梅雨入りしたようですね。リワークでは、朝の一言で“てるてる坊主”の謂れを紹介して下さったりと、梅雨に対するネガティブな思いをユニークに変えようと工夫をされる方もいらっしゃって、興味深いなと、メンバーさんの不快感に対する対策の仕方が様々にあるのだなと感じています。恵みの雨でもあると思いますので、何とか乗り切りたいものですね。

 今回は、リワークのプログラムの中の一つである、グループミーティングについて取り上げたいと思います。グループミーティングでは、「セルフケアと再発防止」をするためには、どんなことに取り組めるかという視点で進めていきます。そんなグループミーティングも今回のタームのまとめに入っています。このブログでは、グループミーティングで取り組んできた内容をもとに、大切にしていただきたいなと思うことをまとめたいと思います。

 グループミーティングでは、ストレス・マネージメント、認知療法、アサーション・トレーニングの3つを順に学んでいきます。それぞれから得られた内容を、ご自身のセルフケアや再発防止に役立たせてもらうことが狙いです。
 
 ストレス・マネージメントでは、「まずは、自分がストレスに曝されているということや、ストレス反応が生じているということに気づくことが大切」だと伝えてきました。リワークのメンバーさんの中には、なんとなくストレスはあるな〜と思うけど、何にストレスを感じているのか、ストレスに曝されているときに自分にはどんな異変が起きているのかはわからないと語られる方が多いように思います。ストレスに気づかなければ、対策や対処法を考えられないと思います。「しんどい状況が続いているな…」と感じているけど、どうすると良いかわからないという方は、まずは何にストレスを感じているのかに気づけることから始めてみて下さい。
 そして、それぞれのストレスに対策をしていきましょう。対策の仕方も人それぞれだとは思います。「仲間で食事に行く」「カラオケに行く」「スポーツをする」などのように、問題となる出来事を一旦おいて、どんよりした気分を晴れやかにしてみたり、溜まったストレスを発散してみたりする方法もあります。他には、「締切を延ばしてもらおう」「誰かにこの仕事を手伝ってもらえるよう依頼をしよう」などと、直面している問題に直接対策を行う方法もあります。
その他、相談してみたり、その場から離れてみたり、自分の考え方に幅をもたせてみたり、方法は様々ですね。ここで重要なのは、どれか一つに頼るのではなく、いろんな方法や対策を持てていること、適切に対策が使えていることです。例えば、疲れを癒やす対策として、“眠ること”一つで勝負!と感じていた方がいたならば、眠ることの他に、ゆっくりお風呂に入る、ヨガをしてみるなど、いくつか持っておけると良いと思います。

 認知療法では、心が動揺している時に、偏った考え方や現実とは異なる考え方をしてしまうことがあること、ご自身の思考のパターンもあるかもしれないことに焦点をあてて考えていきました。
 気持ちが揺れ動いたときに立ち止まって、自分の気持ちに目を向けてみると、自身の特徴が見えてきます。ぐるぐると良くない方向へと考えていた思考のパターンも見えてくるかもしれません。考え方の幅を広げて柔軟に考えることによって、ある出来事があったときに気分の落ち込みが100%辛い状況だったのが、78割くらいに和らいだり、気分や症状の回復に月単位かかっていたのが、半月や週単位など早くなったりしていきます。気持ちが楽になると、どういう風にできそうかという解決策も考えられるようになります。

アサーション・トレーニングでは、相手の気持ちを配慮し、相手の思いや考えも傾聴、尊重した上で、自分の気持ちや感情、意見などを素直に、また状況に応じて適切に表現することを学んでいきました。スムーズに仕事をしていく上で、どのように周囲とコミュニケーションを取れると良いかを考えてみることで、どんな場面で自分は攻撃的な関わりになっていたのか、もしくは、ぐっとこらえて我慢する関わりになっていたのかも見えてきます。

 ストレス・マネージメント、認知療法、アサーション・トレーニングのそれぞれで様々なことをお伝えしましたが、“これさえやっておけば大丈夫!”という万能薬のようなものではないですし、しんどいと考えなくなることや、不安だと感じなくなること、ストレスの要因がなくなることが望ましいことでもありません。感じた気持ち、生じた考え、直面している課題とどう向き合っていくのか考えてみることが大切なことですので、自分の気持ちがどうなっているのかに目を向けてみる時間も持ってみてください。
 どうしようもなく辛くて、しんどくなる前に、自分の働きやすい環境を自ら構築し、自分で自分をケア出来るようになると良いですね。


2017年6月12日月曜日

梅雨入りしましたね。。。



まだそこまで雨の日は少ないですが、梅雨入りの発表がされましたね。
日中は真夏のような暑さで、朝晩はやや涼しくなり、雨が降ればジメジメと…
気候が安定しておらず、体調が追い付かずに風邪を引いてしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

この時期に体調を崩される方が、私の身近にもたくさん居ますので、是非快適にこの時期を乗り越えるために、対策をとって頂きたいと思います。

★適度な運動:血行や新陳代謝を高め、体に不要な水分や老廃物を排出する。
★休息:自律神経の乱れを起こさないように十分な休息をとる。(入浴や睡眠など)
★外出する:雨の日や曇りの日でも、体内時計をリセットするには十分の日光を浴びることが出来、睡眠の質を上げる。
★食事:胃腸の動きが弱りがちになる時期なので、腹八分を心掛け、冷たい物の摂取を控える。

簡単な対策法を紹介したので、参考にしてみてください。
普段の規則正しい生活が基本になりますが、日々の生活で毎日続けるとなると難しい事もあると思います。
気づいたときに改善するように心がけると、徐々に習慣化していきます。

2017年6月5日月曜日

「私の目標」に気づく時〜リワークで復職に向けた目標に取り組みましょう〜

リワークでは「私の目標」に毎日取組みます。

リワークに参加しているメンバーは、個人目標を設定します。
一週間の始まりの月曜午前のプログラムで、各自が目標を発表します。
そして、先週の達成度を確認します。
リワークの個人目標は、復職するために何が自分に必要なのかを明らかにする意味があります。
復職に必要となる目標は、多岐に渡ります。リワークで目標にしている代表的なものを、以下に紹介しましょう。
(1) 睡眠の目標
具体的には、「起床時刻」と「就寝時刻」を一定に設定します。休職しているメンバーの多くは、安眠がいかに難しいか体験しているます。眠れない、起きられない、途中で目が覚める、等。
睡眠が不安定な方が、一定時刻に寝起きして、睡眠の質を向上させるのは、大変難しいことです。しかし、リワークでお互い支えあい励まし合う関係が持てれば、規則正しい睡眠を一緒に目指す気持ちになれます。粘り強く、全員で取組みます。
睡眠が非常に不安定なメンバーは、毎日リワークに参加するのが大変です。職場に規則正しく通えない状態です。
しかし、参加当初は睡眠が不安定だったけれど、徐々に改善するメンバーもいます。改善するメンバーに特徴的なのは、リワークのメンバーとの関係が大事になってくるということです。メンバー同士で、治療的な恩恵を与え合える関係が出来上がってくるのです。そうするとリワークでの時間が大事に感じられるようになります。こういうメンバーは、病気の回復と復職のためには、健康な生活が大事なのだと本当に認識するようなります。睡眠の健康的改善と、リワークへの規則正しい継続的な参加とが、足並み揃えて起きてきます。
その一方で、健康的な生活を目指すリワーク集団の中にいながら、目標時刻に寝起きする努力や工夫が出来ないままのメンバーは、リワークの中で変化ができていないと言えます。再発のリスクは高くなるでしょう。リワークに参加して時間が経っているにもかかわらず、夜更しや徹夜などの行動をしている場合、事態は深刻です。本人がそれで良しとしている場合は、深刻です。こうした行動に本人が悩んでいて、相談できる場合には、改善へのチャンスがあります。

(2) リワークでの目標
リワークへの取組みに関する目標です。
次の二つの目標を設定します。「リワークプログラムへの取組み」の目標と、「リワークでの対人関係(コミュニケーション)」の目標です。
どちらも、リワークの中での体験に注目しています。そして、復職するため自分に何が必要なのかを考えた上での目標になります。
何が自分に必要かは、最初から分かっている訳ではないでしょう。リワークに参加していく中で、気付いていくものです。リワークの中での目標は、こうして練り上げられ、変わっていくものです。
目標を作る時には、他のメンバーを見ていて、自分に必要な目標に気付くことがあるでしょう。また、他のメンバーやスタッフからフィードバックしてもらったり、指摘してもらった体験が、目標設定に役立つでしょう。
例えば、或るメンバーがリワークに参加する中で、次のような自分に気付いたとしましょう。
「わたしには、本当は職場で困ったことや不安なことがあった。でも、不安を感じている自分を見るのが嫌だった。そんなことで人に相談するのも嫌だった。立ち止まるのが嫌だった。だから、わたしは、仕事に過剰にのめり込んでいた(オーバーワーク)。そうやって、オーバーワークによって、問題を擬似的に解決してきた。でも、結果としては、体調を崩してしまって、欠勤、そして休職してしまった。リワーク参加中に、わたしは、オーバーワークしてしまう自分にブレーキをかけられるようにする必要がある。そして、もっと本質的なことは、自分が何に困っていて、何を不安に感じているか、振り返って考えられるようになる必要がある。そのために、リワークの参加中に、メンバーのスタッフの力を借りて、自分が困っていること、不安なことを言葉にして相談したり出来ることを目標にしよう。」
このような過程を経て設定された目標は、そのメンバーにとって、非常に有益でしょう。大事な変化に繋がる目標です。
リワークでは、このように、各自が「私の目標」に取り組む姿勢を大事にしています。実際に、プログラムの中で、目標を発表し、達成度を確認します。
しかし、ただ目標を掲げればいいというものではありません。
自分の中にある弱い部分や、援助を求めている部分への注目なしに、美辞麗句な目標を掲げていては、空疎なスローガンになってしまうでしょう。
自分にとって本当に大切な目標を見つけるためには、自分だけの力では難しいのです。自分で自分に気付ける範囲は、非常に限定されたものに過ぎないからです。自分に都合の良いところしか、自分では自分を見られないのです。
しかし、休職に至っている自分の問題は、自分では見たくない部分、見ようとしない部分から発生しているのです。
それを見てくれる人は、自分以外の人です。リワークのメンバーであり、スタッフです。
リワークの「私の目標」の中に、他人から伝えてもらった自分の姿が、どれくらい反映しているのか。これが非常に大事なのです。
他者に自分のことを考えてもらった経験。そして、そういう他者から伝えてもらった自分の弱点。それがどれくらい、個人の目標に反映できているか。
こういう経験を含んだ「私の目標」が作れたならば。そういう目標に日々取り組んでいるならば。そのメンバーは、人の力を素直にもらえるようになっています。また、人に力を与えられるようにもなっています。そして、変化しています。