2016年7月29日金曜日

軽運動について

今回は軽運動についてのご紹介です。
水曜の午後に軽運動として、卓球やパットゴルフ(もぐふ)などのゲームを行っています。

卓球は個人リーグ戦で、卓球は学生時代以来初めてという方も多く、最初は戸惑いながらも皆さん回を重ねるごとに上達されていっています。またもぐふはチームに分かれてチームワークで得点を競い合っており、毎回盛り上がりを見せています。

初めてリワークに参加された方は最初のうちはどうしても戸惑ったり、緊張してしまいがちですが、
この軽運動は比較的リラックスして参加できるものなので、初めてホッとしたという感想もお聞きします。

慣れてきたメンバーさんの動きを拝見していると、歓声や物音が大きくならないように気をつけながら、参加者みんなが楽しい雰囲気になるように初参加の方にルール説明をしたり、応援や声かけなどユーモアを交えたり、準備や片付け、審判などの役割を率先して行って下さっています。こういった遊びの中で、自身が無理せず楽しみながら、周りを見ながら臨機応変に動く事も、社会生活を送る上で大切な力の一つのように感じます。
参加が間もない方は、まずはリワークの雰囲気に慣れて、自身がリラックスして楽しめることを目標にして頂ければと思います。


スタッフも参加者の皆様が有意義な時間を過ごしてもらえるように陰ながら応援しております!

2016年7月22日金曜日

休むことってダメなこと?


リワークに参加されているメンバーさんや、リワークを卒業して復職された方々のお話をうかがっていると、

「会社を休むことになって、申し訳ない。僕が休んだ分、みんなに迷惑をかけてしまっている」
「同僚たちは残業して頑張っているのに、私には勤務制限があって、定時で帰ることに後ろめたい気持ちになる」
とおっしゃられていることが多く、

そう思うことになった背景には、どんな心が動いているんだろう?と、考えさせられることが多くあります。



日本に生まれ、日本で育ち、日本で暮らしている私たちは、

日本人のアイデンティティの一部として、

特に意識しないうちに、勤勉が美徳とされ、“休むことはすごく悪いこと”だというのが、心の中に根付いているのかもしれません。


でも、それを、「日本人の心性だから、仕方ないか」と、片付けてしまうのは、どこか違和感を感じてしまいます。


休むことって、そんなにダメなことなんでしょうか?



一概に、‘休む’と言っても、その時間、期間、何を休むのか、質や内容など、さまざまな視点で考える必要があると思いますが、

たとえば、山登りをしているときに、頂上までは徒歩で2時間かかるから、途中30分経過したところで、足を止めてお茶を飲むというのはどうでしょう?

おそらく、2時間休まずに歩き続けると、足も疲れるし、喉も渇く、暑い日差しの中で水分が足らなくて体調を崩してしまうかもしれないし、大量に汗をかいて意識が朦朧としてしまうかもしれない。

そういう状態になったら、皆さん迷わず、休憩を取って、水分補給されるでしょう。



では、締切まで1ヶ月ある仕事が思うように進んでいない中で、毎日残業が続き、寝不足で仕事中の集中力が切れて、体調が思わしくない。そういうときに、1日お休みを取るというのはどうでしょうか?

あと、「1ヶ月しか期間がないし、周りに迷惑がかかるから、その仕事が終わるまでは頑張らないといけない。仕事が大事だから、自分の体調のことなんて、気にしていられない。休んだら、その分、遅れてしまう」と想像された方が多いのではないでしょうか?


ここで、「まだ1ヶ月あるし、ゆっくり進めていこう。体調を整えて、万全の状態で仕事に取り組もう。今、気持ちに余裕がない状態で仕事に取り組んだら、他の仕事にも支障が出るかもしれないし、その方が他の人に迷惑がかかるかもしれないから、今の仕事の進捗や自分の状況を周囲に相談してみよう」と、思われた方は、恐らく自分の状態に合わせて、そのときどきのパフォーマンスを発揮することが得意なのではないかなと推測します。

私たちは機械ではないので、いつでも同じように行動ができるわけではないですよね。

日々、生活している中で、しんどいこと、辛いこと、悩むこと、いろんな出来事に遭遇し、私たちの心は常に揺れ動いています。

どんなときにも、同じようなパフォーマンスを職場では求められることの方が多いでしょう。

でもきっと、求められていることに過剰に合わせようという気持ちが強くなればなるほど、私たちは自分の心の中の気持ちを見失ってしまうことにつながってしまうのではないでしょうか。




「ここで休んだら、ズルズルしてしまうんじゃないかと思う」

「一回、立ち止まってしまったら、もう前に進めないかもしれない」

と、休むことに対する不安が強い人は、

自分のことを信じれないような状態なのかもしれないし、

すごく頑張っている分、やる続ける中で得られているものがあるから、それを手放したくない気持ちもあるのかもしれないですね。




ずっと休憩したままだと、目的地には辿りつけない。


誰も、そこまで運んでくれるわけではないですから。


しかし、ずーっとエネルギーを消耗し続けると、きっと、エネルギーが枯渇してしまって、いつしか前を向けなくなる。


こういう風に考えてみると、


適度に休むことは必要なことだし、

できるときに、パフォーマンスを発揮することも必要なことだというのが見えてくると思います。


・会社を休んでしまった

・休職することになった

・リワークに行けなかった


休んだとき、どうして今休むことが必要だったのか、その意味について考えてみませんか?

今、そうすることが必要だったのかもしれないのですから。


その意味について考えてみて、それがどういうものだったかわかったら、

また進み方が見えてくると思います。


自分は何から目を背けているのか。


自分が何かを達成できないことなのか。


自分の能力を目の当たりにすることなのか。


苦手な人との関係を遠ざけることなのか。


休んだ意味がわからなかったら、休むことが、何かから回避するという手段に変わってしまって、それが繰り返されてしまうでしょう





リワークでは、休職している仲間が集まり、じっくり立ち止まって考えてみて、自分自身についての理解を深めていくということに重点を置いています。


自分のことがわかったら、どうしたらいいのかも見えてくるはずです。

それが見えてきたら、できることから行動できるといいかもしれません。

もし、それが間違っていたとしたら、また考えてみて、できることから始めていけるといいかもしれません。


進むことが必要なとき、休むことが必要なときがあると思います。


置かれている状況と、今の体調と、気持ちのバランスを見ながら、
今、自分がどうすることが大切なのか考えていきたいですね。


仕事を頑張っている分、気分転換する時間も積極的に取ってみたり、

頭と身体を使っている分、休憩を取ったり、

何か一つのものだけに気持ちがとらわれてしまわないということが大事なのかなと思ったりします。







2016年7月15日金曜日

個人プレゼン

気温が30度超えの日々が続いていますね。
とても暑いため、体調管理の方気をつけたいですね。

個人プレゼンでは、「夏」というテーマで発表していただきました。発表のやり方は人それぞれですが、たとえば、

語りで発表する人
パワーポイントを利用して発表する人
イラストを用いて発表する人
音楽を鳴らして発表する人

とそれぞれ違った発表の仕方があります。

何度も人前で発表することで、自分自身がしっくりくる発表の仕方が見つかっていくのかもしれません。

発表するまでに準備期間があると思いますが、その準備もとても大切になってきます。
準備をきちんとすることで、自分の伝えたいことが明確に出来るし、時間の配分なども事前に考えることが出来ます。
メンバーさんからのお話からも、準備がきちんと出来たときは、自分の納得がいく発表をすることができ、発表自体を楽しいと感じることが出来るようです。

発表というのは、”話し手”と”聞き手”がいて成り立つものです。もちろん、話し手は聞き手の人たちに分かりやすく時間内で発表することが求められます。しかし、発表者である”話し手”がどれだけ自分の言いたいことを話せて、楽しめるか、というところも重要な部分です。そのためには、上記にも述べたように、自分の出来る範囲内での準備というのが大切になってきます。

その準備期間は、原稿の作成や発表する際に必要なものを用意するなどありますが、前回の発表で気になった自分のクセや考え方について思いを巡らせる時間でもあります。
そのようなことを次の発表に活かすためにも、準備期間というのは必要不可欠になってくるものと思います。

次回の発表も楽しみにしています。


2016年7月9日土曜日

グループセラピーの体験 〜「ネガティヴ」な気持ちをどう扱うか〜


リワークでは、自分の本当の気持ちや思いがどういうものなのかを知ることの意義を学んでいます。
そして、それがとても難しいことも、同時に。
休職前の辛かったときのことを思い出してみてください。心の中に様々な感情が湧き上がっていたことでしょう。
「仕事が片付かない。もう自分の力では無理だ」
「上司のわたしに対する態度が嫌だ。なんでいつも厳しい言い方ばかりするんだ」
「なぜあの人は評価されるのに、わたしは同じだけやっていても、認めてくれないんだ。蔑ろにされている。」
「わたしのことをわかってくれる人は、この職場に誰もいない。ひとりぼっちで寂しい。」
「もうわたしなんて、何をやってもダメだ。どれだけ頑張ったって、わたしなんて、ダメなんだ……」
私たちを苦しませる感情は、ネガティヴな感情といわれます。そうしたネガティヴな感情を生んでいる考えにも、私たちは苦しみます。
ネガティヴな感情は、扱いかねることが多いことでしょう。
ある人に非常に怒りを感じていたとして、しかし、この怒りを加工しないままに直接相手にぶつけたら、当然相手もそれ相応の反応を寄越し、二人の関係は破壊されてしまうかもしれません。そういうことがわかるので、私たちは怒りを相手に直接ぶつけることを恐れるでしょう。それを避ける訳です。
しかし、この怒りはどこに行くのでしょうか。
時間が経てば薄れていくかもしれません。その人と接触しなければ、怒りも感じないかもしれません。
しかし、その人とは今後も顔を合わせなくてはいけないとなったらどうしましょうか。仕事の上司や同僚は、そういうものです。
怒りは消化されないままに、心の中で私たちを常に脅かし、その発露を窺うことでしょう。それが相手に向けられない場合は、その矛先を自分自身に向け換えるかもしれません。
怒りだけでなく、落胆、失望、嫉妬、羨望、孤立感といったかなり性質のはっきりした感情から、不安というその正体がはっきりとは知られない感情体験まで、ネガティヴな感情は、それが手に負えないがゆえに、私たちの心身の安定を脅かします。
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リワークに参加しているメンバーは、そういう感情に苛まれたときに、ホームワークを書いて、自分を客観視する作業をされるかもしれません。
ホームワークでは、自分が不安や動揺したときに何を考えていたかを振り返ります。そして、その考えに対して、内なるもう一人の自分が向かい合い、検討を開始します。
すると、ネガティヴな感情に支配されていたときは、極端な考え方や思い込みをしていたことに、気付くかもしれません。こういう別の見方や考え方もあるのではないか、ということに気付くかもしれない。客観的事実的な確認も実施しながら、このように、内なるディスカッション(自己内対話)をホームワークでは試みます。その結果、最初の考えとは違った、もう少しバランスの取れた見方が創造できることが期待されるのです。
このようなホームワークの作業はとても大事です。しかしその一方で、強調しておきたいことがあります。
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私たちが最初に体験していたネガティヴな感情や体験(ホームワークの言葉でいえば、自動思考にあたるでしょう)を、過小評価しないでもらいたい、ということです。ネガティヴな感情や思考(例えば、特定の他者や自己に向けられた「怒り」や「嫉妬」、「失望」、「落胆」、そして「不安」)を、「こんな嫌なことに関わっていたら、しんどいだけだ」として、「考えないようにしておこう」と軽くみなしたり、「私の認知が歪んでいる」の一言で片付けてしまわないことです。
むしろ、このように「ネガティヴ」とさえる心の体験こそが、自分自身を知る貴重な機会を与えてくれます。
「なぜ自分は、この状況に、あるいはこの相手に、こんなに苛立っているのだろう。怒っているんだろう。嫉妬しているんだろう。不安なんだろう。罪悪感があるのだろう」
こういう問いを軽んじないで、大事にして、それをリワークの中で考えましょう。
そうしたネガティヴな体験をしている私たちの心は、これまでまともに相手にもされず(つまり、考えてもらえず)、その存在も直視されず、手を付けないままに、放置されてきた部分です。
でも、その部分はそうやって今まで放置され続けてきたからこそ、休職に象徴されるような心身の危機として、私たちにその存在を訴えかけてきているのです。
苦しいからといって、すぐにネガティヴな体験に目を閉ざさないで、それを見てみましょう。確かにそれは苦しいはずです。でも、休職してリワークに通っている方なら、それが出来るチャンスがあります。
なぜなら、リワークはそういうことに取り組む場所だからです。自分のネガティヴな体験をどう扱っていいかわからずに、休職に至り、苦しんでいる方たちが集っている場所だからです。その手伝いをするために、私たち病院のスタッフもいるからです。
リワークメンバーにとって、その作業の手掛りとなる体験は、リワークの中で起こっていることです。
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グループセラピーというプログラムは、そういう取り組みをしているプログラムなのです。
リワークで日々体験していることを手掛りに、あるリワークメンバーに対しての思いや、スタッフへの思いを、当事者同士で考えることができたら。それは怖くて不安な作業でしょうが、当事者で真剣に考えた体験によって、その相手との関係が壊れることなく、新しい性質を持った関係へと変化したら。
復職に向けて「自分が変化すること」という言い方は、リワークでもよく話題となります。ここでいう変化とは、魔法がかかったようなスーパーマンになることでも、仕事が出来る人間になることでも、苦しみがなくなることでもありません。
私たちのリワークでいう「変化」とは、これまでほとんど扱われないままにきてしまった自己のネガティヴな体験にリワークの中で目を向けることから始まります。それまでおののいているしかなかったネガティヴな自分を直視することから始まるのです。
そして、不安を感じながらも、グループセラピーやリワーク内での対話のなかで、それを当事者で考え合い、考えあえたという関係を持つこと出来ること。それが、変化なのです。
リワークの中で悩むことは、だからそれだけで意義があります。しかしその悩みは、しっかりとつかまえてあげる必要があります。
怖いからといって無視してしまったり、怒りや泣き叫びのような感情の発露だけで終わってしまっては、大事なネガティヴな体験は成長につながらないでしょう。
ネガティヴな体験は、真剣に考えてもらえる機会を、ずっと待っているのです。