2015年4月24日金曜日

今月のアフターリワークプログラム



 今月のアフターリワークは、先週の土曜日、4/18に行いました。
(アフターリワークは、リワークプログラムCRESSを利用し、復職された方を対象にしたデイケアです。)



 リワークに今通っておられる方は、“アフターってどういうものなんだろう?”って、なかなかイメージできなかったり、初めて参加する方は、“どういうことをするのかな?”“どんな人達が来てるのかな?”と気になる気持ちを抱いておられるんじゃないかなと思います。

 アフターの雰囲気が少しでも伝わるように、
 準備を整えて復職できるように、
 復職してもここでのつながりが安心感につながっていくということを知ってもらえたらなと思って、先日のアフターの様子を綴っていきたいと思います。



 今回は、10人強の卒業生のみなさんが参加されました。いつもより、少し多い人数だったように思いますが、
  
 タイムテーブルとしては、
 10時〜  受付開始
 10時半〜 ラジオ体操・朝の会・自己紹介
 11時〜  グループミーティング(「復職後の今」について、どんな風に過ごしている       か、どんなことが起こっているか、感じていることや困っていることなど自      由にディスカッションします)
 12時半〜 昼食
 13時半〜 個別相談・レクリエーション(個別相談は担当の心理士と面談をし、その間他      のメンバーさんは看護師が生活習慣をチェックしたり、卓球をしたり、その      回によってプログラムはさまざまです)
 15時半〜 終わりの会

 上記のような流れで、レクリエーションは“ケーキ作り”を行いました♪



 ホットケーキを重ねて、生クリームでコーティングしています。
 女性のメンバーさんを筆頭に、協力しながら、美味しいケーキができあがりました☆













                      



午前中のミーティングでは、それぞれが復職してどのくらい経過しているかや、どんな仕事をしているか、職場での状況などを話されました。

今回は、復職して1年経過しているメンバーさんから、復職して3日しか経っていないメンバーさんまで、さまざまでした。

その中で、復職して間もないメンバーさんが、
復職したばかりで、与えられる仕事に対して物足りなさを感じるということを言葉にされ、そのことから他のメンバーさんが感じていることや思っていることなど、話が広がっていきました。



「やっと復職できた」という気持ちがあると、最初の頃はどうしてもアクセル全開に気持ちが入りやすいのではないかと思います。

そういった気持ちに対して、同じように経験されたことのあるメンバーさんから、「自分も同じような気持ちで復職した結果、少しずつうまくいかなくなってしんどくなっていった」という意見が数名から出ていました。

そこでお互いが、自分の職場での過ごし方や、これからの進み方を考えるきっかけになっていました。



アフターリワークでグループディスカッションする意味は、

復職したばかりのメンバーさんは、これから自分のペースをつかんでいく時期で、復職して暫く経過した先輩から、体験を混じえた意見をもらうことで、自分のことを点検しながら歩んでいくことができるのではないかなと思いますし、

復職して時間が経過しているメンバーさんは、復職したてのフレッシュな気持ちを聞くことで、自分の今を考えるきっかけになり、またこれからどんな風に過ごしていけばいいのか気持ちを整理できる体験になるのではないかなと思います。


同じCRESSで過ごしたとはいえ、アフターリワークで初めて顔を合わせる方々もいらっしゃいますが、
CRESSで過ごしたという体験から、自然と皆さんが時間をかけずに心を開いて関わりあっておられる様子を見ると、嬉しく感じます。


CRESSを卒業して、復職後うまくやっていけるのか心配な気持ちは皆さん共通です。

だからこそ、一緒に考えていけることが力になるのではないかと思っています。

CRESSを卒業したら、孤独な戦いが続くのではなく、
お互い支えあいながら着実に歩んでいくことを目指していただけたらと考えています。




今、リワークに参加されているメンバーさんも、復職が近づいているメンバーさんも、
復職されたメンバーさんが一日一日粘り強く立ち向かっている姿に、エネルギーをもらいながら、これからのことを考えていってくださいね。



アフターに参加された皆さん、お仕事がお休みの日に、足を運んで来てくださって、ここでのつながりを、ずっと大切にしてくださっているんだなと感じますし、
私達スタッフも、みなさんが日々の生活の中で感じる気持ちを一緒に考えられる場を大切にしていきたいなと思っています。

次回のアフターリワークは5月16日に行います。

また、お会いできることを楽しみにしています。

 皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

2015年4月17日金曜日

グループ作業でリワーク通信春号(第8号)を作りました。〜グループの中で起きた問題を、グループの中で考えよう〜

リワークプログラムのグループ作業の成果物について、これまで本ブログの記事でも毎回紹介してきました。

今回は、1〜2月の2ヶ月間のグループ作業で取り組んで完成させた、
ワクワク♪リワーク通信 2015年春号
をご紹介します。
リワーク通信の発行も、今回で通算第8号となりました。
リワーク通信とは、復職を目指して日々リワークに通うCRESSのメンバーが、リワークで何を学び、体験しているか、メンバー自身の声で伝えるものです。
来るべき復職に向け、この休職期間をリワークで過ごし、日々悩みながらも真摯にプログラムに取り組んでいるリワークメンバーからの発信を、どうぞご覧下さい。




















今回のリワーク通信も、前号に引き続き、冊子形式でボリュームのある作品となりました。
リワーク通信を通じて、メンバーがCRESSでどういう一日を過ごしているのかを、具体的に伝えることができないか、みんなで考えました。
そこで考案されたのが、架空のメンバー「暮須なごみ」(暮須は、クレス CRESSと読んで下さい)を主人公としたマンガ「暮須なごみさんの一日」です。
このマンガを作るにあたって、たくさんの写真を撮影しました。
朝、リワークルームに入ってくるところの撮影から始まって、朝の会や、それぞれのプログラムの光景、お昼時間の食事の光景、リワークメンバーがCRESSを巣立って復職していく卒業式など。
写真をもとに、コマ割りやセリフを考えて、コラージュの技法を取り入れて、独創的なマンガが出来上がりました。
暮須なごみ(つまり、これはメンバーの一人ひとりです)が、復職に向かって、この休職期間をCRESSで生き生きと過ごしている生活が、描写されています。
リワークに関心をお持ちの患者さんや、将来CRESSに参加されることになるまだ見ぬメンバーの方が、このマンガを通じて、リワークというものをもっと具体的に身近に感じてもらえたら、嬉しく思います。

今回のリワーク通信では、現メンバーがリワークに参加する際に感じていた疑問や質問を取り上げて、それにスタッフと現メンバーが回答するコーナーがあります。
例えば、
「リワークには毎日通わないといけないのでしょうか?」
「何ヶ月くらいリワークに通ったら、復職できるのでしょうか?」
「プログラムを選んで参加することはできますか?出たいものだけ出てもいいのですか?」
など、どれも、リワークを利用するにあたって、多くの方が疑問に感じていたり、知りたい質問が揃っています。
回答にあたっては、リワークスタッフが治療的な観点からの理解と回答を提示した上で、かつて同じようにこうした質問を抱いていた現メンバーが、リワーク通信に盛り込んで作り上げました。
「休職期間に、なぜあえてリワークを利用するのか?」という大切な問いへの、CRESSからの一つの回答となっています。
リワークをこれから利用しようとされている患者さんや、改めて原点に立ち帰る必要性を感じている、リワーク通信の作り手である現メンバーさんにも、ぜひ目を通しておいていただきたい内容です。

さて、グループ作業は、リワーク集団を職場に見立て、決められた納期に間に合うように、プロジェクト(今回であれば、リワーク通信)に取り組むプログラムです。
今回のグループ作業でも、多くのメンバーが、メンバー間で生じる対人的な問題に苦しみ、悩み、葛藤しました。

ときには、はっきりと目に見える衝突が起こることもあります。
その場合は、当事者とスタッフとで一緒に話し合って、お互いの理解のズレを確認し、歩み寄ったり、相互に理解したりできるか、試みてみます。
辛い体験にはなりますが、しかし、たとえ仕事で衝突しても、それによって人間関係が壊れる訳ではなく、むしろお互いのことを知れたり、新しい関係に開かれる機会となるならば、そのメンバーさんにとっては、大きな成長の体験となります。こうした体験は、職場に戻ってから、生きてきます。

しかし、そういうケースはむしろ少ないのです。
多くは表面化しないままです。そして、今発生しつつある「対人関係の問題」や「グループの機能不全」は、ひそやかに、グループの中で、地下水脈のように、あるいはマグマのように、息づいています。

リワークでは、こうした問題を、なかったことにするのを、よしとはしません。
その理由は、ここまで読まれた方には、自明でしょう。
グループ作業は最もそうした体験が起こりやすいプログラムですが、それに限らず、リワークの中でメンバーが体験している、対人関係での悩みや葛藤を、表面に持ち上げて、それをできることなら当事者同士、さらにはグループ内で話題にして、皆で考えられることが、復職への力となるばかりか、各人の人間的な成長に繋がるからです。

こうした体験をリワークで持てる方は、確かに少ないかもしれません。辛い不快な体験になりうるからです。
ただ、一人でも多くのメンバーが、リワークの中で発生した対人関係の悩みや問題を、グループの中で考えられる機会が持てたら、と思います。
そうやって成長したメンバーの集団によって、グループもまた成長できるのです。
こうやって成長できたグループならば、それはグループを構成している私たち一人ひとりに、恵みをもたらしてくれるでしょう。
私たちは、CRESSをそういうグループにしたいと思っています。