2013年7月26日金曜日

MASK


 7月のアートセラピーのプログラムで行なっていた、“仮面作り”が、今週完成しました!

 仮面を作るためには、アルミホイルで原型を取り、それから新聞紙を幾重にも貼っていき、さらに半紙を重ねていきます。 


                ↓画像はこちら

 

 
そして、思い思いの色に彩色していくわけです。


 なかなか原型を作っていくというのが難しくて、立体感を出すために、やり直しされていた方もいらっしゃいました。

 作業するとプロセスには、どのようなものに対してでも、その人のその仕事に対する関わり方が現れてくるなというのを、あらためて感じました。








 日にちは変わって、木曜日の自己分析の時間は、〔私にとって仕事って?〕というテーマでフリーディスカッションを行いました。

 その中では、リワークに参加されているみなさんが、どのように仕事を選択してきたのか、その中でどういったことが起きていたのか、個人個人の仕事に対する思いや、復職後どのように仕事と向き合っていけばよいのかということが活発に話されました。


 この話を聴きながら、みなさんが制作された“仮面”がどのようなものだったかを、思い起こしていました。
 
 自分の顔を作られた方もいらっしゃいますし、動物や、それ以外のユニークなものを作られた方がいらっしゃったのを思い起こしていたのです。


 

 人は、生活を送る上で、社会に適応するために、誰しも外向きの顔というのが存在しています。
 24時間いつもどこでも、誰と居る時も同じ顔というのではないでしょう。

 「職場ではこうしなきゃ」「お客さまと話すときは、こういう態度で接しなきゃ」

と、その場に応じた仮面が存在するのではないでしょうか?

 それは、これまでの経験の中から培ってきた、社会生活を送る上で、必要な防衛ともいえるでしょう。


 もちろん、仮面は一つではなく、自分の中にいくつもあるかもしれませんし、
 分厚い仮面もあれば、薄い仮面もあるかもしれません。


 その中で、どういう仮面を自分がかぶっていたのか、その仮面が本当の自分自身とどのくらいかけ離れていたのか、どのくらい仮面をかぶっていたのか、、、、
 自分を出すことができなくて仮面をかぶり続けていたのか、、、



 そういう視点で、この仮面と、自己分析でご自身が話されたことをもう一度吟味していただけると、
 自分自身というのが、別の角度から見えてくるのではないかと思います。


 みなさんきっと、今回のプログラムで、どうしてその仮面を作ったのか、その仮面に対する思いがそれぞれ違うと思います。

 自分がどう見えるのか自分の姿と向きあおうと思って自分の顔の仮面を作られた方もいらっしゃるかもしれませんし、
 ご家族のことを想われて制作された方もいらっしゃるかもしれませんし、
 周りに見せる自分の顔を作られた方もいらっしゃるかもしれませんし…



 何を想っていたのだろう?



 そこには仮面を作り、自己分析をしたという経験を通して、それぞれの方に考えていただきたいなと思っています。

 

 答えは一つではありませんし、こういったプログラムを通して、自分自身と向き合って、自分の本当の気持ちを考えていくプロセスを、CRESSではサポートしていきたいと思っています。








こころのクリニック和−なごみ−
 http://nagomi-kokoro.com/

 

2013年7月19日金曜日

映画の時間 〜リトル・ミス・サンシャイン〜


蒸し暑いですね。
夏は寝苦しいのは辛いですけれど、花火大会や夏祭りなど、風情ある夏ならではの風物詩に心躍る季節です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、今日のブログでは、CRESSの映画鑑賞についてご紹介します。

CRESSでは毎月一本、映画を鑑賞しています。
何を見るかは、メンバー全員で決めています。
毎月テーマを決めて、そのテーマに沿った映画を各自一本ずつ、メンバーの皆さんに考えてきてもらいます。
映画決めでは、メンバーさんに順番に作品紹介をしてもらった上で、映画鑑賞会で見たい作品を多数決で決めています。

これまでCRESSでは、次のような映画を観ました。

『ツレがうつになりまして。』
『最高の人生の見つけ方』
『宇宙兄弟
『しあわせのパン
『テルマエ・ロマエ
『サマータイムマシン・ブルース
『最強のふたり
『リトル・ミス・サンシャイン

みなさんは、この中でご覧になった映画はありますか?
私は、『最高の人生の見つけ方』以外は、どの映画もCRESSで初めて見る映画ばかりでした。
メンバーさんの映画紹介を聞くのはとても楽しみなのですが、名前だけ知っている映画もあれば、全く知らなかった映画もありました。
これらの映画は、CRESSでの映画鑑賞を通じて、出会えた作品です。
それぞれが、思い出深い映画です。
そのとき一緒に鑑賞し、今は卒業されたメンバーさん達の顔が思い出されます。

残念ながら映画鑑賞会に選ばれなかった映画も、メンバーさんの映画紹介を聞いていると、またの機会に個人的にでも観てみたくなります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、先月6月の映画鑑賞会のテーマは「家族」でした。
奇遇なことに、三人のメンバーさんが、
『リトル・ミス・サンシャイン
を候補に持ってこられました。
ここまで作品が被るのも珍しいことです。
そして、多数決の結果、『リトル・ミス・サンシャインが上映作品に選ばれました。



主人公は、美少女コンテスト『リトル・ミス・サンシャインの栄冠に輝くことを夢見る女の子、オリーブです。
映画は、オリーヴの家族全員で、『リトル・ミス・サンシャインの会場に向かう道中を描いたロードムービーでした。
オリーヴの家族は、皆、曲者(くせもの)ぞろいです。
彼女の家族は、いわゆる“理想的な家族とは程遠いものです。
まったくまとまりなく、バラバラな家族です。
この家族が美少女コンテスト会場までの長い道のり、父親の運転する黄色いフォルクスワーゲンの中に押し込められた状態で、一緒に旅をするのです。

この旅が、ただで済む訳がありません。
ブラックなユーモアも交えながら、家族の姿がコミカルに描かれていきます。
上映中は笑いが起こりました。

ただ、単に笑える映画というだけではありませんでした。
バラバラな家族は、それぞれが皆、何らかのこころの痛みや、人生の暗さを背負っています。
家族は皆、何らかの喪失を経験していきます。

そして、はっきり言えることは、
映画の最初と、映画の最後で、オリーブの家族は、確実に変化している、
ということです。

映画は、家族の成長の過程を描いたものでもあったのです。

映画の終わりは、家族の旅の終わりの場面でもありましたが、しかし、家族の新たな出発をも暗示して、映画は終わりました。

映画のエンドロールが流れる中、メンバーも各人各様の感慨に浸っているようでした。
それぞれが、この映画の世界に入っていたのだと思います。

うつ病で苦しんでいるメンバーさんが、休職中にリワークで、ある映画に出会い、そこで描かれている物語世界に自分を投入すること。
笑ったり、泣いたり、胸が熱くなったり、興奮したり……。
作品の呼びかけに、自分の感情が、はっきりと呼び起こされているのを経験すること。
そして、一人で観るのではなく、リワークルームで、リワークの仲間とともに、一つの作品を観ること。


映画鑑賞会をして思うのは、物語に感情移入できることは、心が生きている証だということです。
それは、映画だけに限りません。小説やマンガも、そうですね。
メンバーさんの中には、好きな小説やマンガの話をしてくれる人たちがいます。
物語は、大切な栄養を心に与えてくれます。
そういう力が、物語にはあります。


7月のテーマは「挑戦」。
そして、卒業されたメンバーさんが紹介してくれた
『ソウル・サーファー』
という映画が、選ばれました。
サメに襲われて片腕を失ったサーファーの女性が、失意の後、再びサーフィンに挑むという、実話に基づく映画とのことです。

今から、どんな映画か、ワクワクします。

2013年7月12日金曜日

セルフチェック!


 毎週、月曜の午前のプログラムは、セルフチェックとソリューション・フォーカスドアプローチを行なっています。

 

 月曜日のしょっぱなが、先週一週間を振り返って、今週をどう過ごしていくか考えていくことからスタートするのです。

 先週、何も問題なく過ごせて、生活習慣目標も達成率が高かった人にとっては、あまり負担は感じられないかもしれませんが、

 中には、
 「先週、寝坊してしまったな…」
 「ほとんど目標を達成できなかったな。こんな状態で、みんなの前で振り返りをするなんて…スタッフに何を言われるんだろうか」と憂うつに感じる人にとっては、苦痛な幕開けとなってしまうことも否めません。

 そうなると、月曜日にリワークに行くのが億劫に感じられるようになっていくかもしれませんね・・・



 しかし、
 「目標を別のものに変えてみたけど、今週もうまくいかなかった。」というのを、毎週欠かさずに、素直に持ってきてくださるメンバーさんがいらっしゃいます。
 「自分がどこに向かっているのかわからない」と言いながらも、前に進んでいこうと、自分の課題に向き合っておられます。


 “努力してみて、工夫してみたけど、うまくいかなかった。”
 
 それがわかったというのは、やっぱりやってみたからこそわかることだと思います。

 向き合わないで、違う方ばかり向いていると、何も問題は改善されていかないし、
同じことがずっと続いていってしまいます。

 何も気付かけないままの状態が、続いてしまうのです。

 自分のことを一番よく知っているのは自分自身。

 他の誰かに何か言われたとしても、本当に自分と向きあおうという気持ちが作動していなかったとしたら、気づくのは難しいように思います。

 
 やってみた努力そのものが重要なことですよね。

 なので、私はみなさんのセルフチェックをいつも楽しみにしていますし、困難に立ち向かおうとされている姿を、素晴らしいなと思いながら拝見させていただいています。



 毎週、毎週、こうしてセルフチェックの時間、メンバーさんたちは、自分について考えていこうと向き合っておられるように感じます。

 生活記録や生活習慣目標は、ありのままの自分の姿が記録として残っていきます。
 
 しばらくして、ご自身で振り返ってみると、こんなに変化が起きていたのかと気づくことにもつながるでしょう。

 次第に、体調や気分が悪くなったときを意識することができ、原因も意識できるようになっていくと、“疲れたあとは無理をしない”と、負荷をかけすぎないようにしたり、予防できるようにもなっていきます。


 こういった地道な積み重ねが、自己管理だけでなく、自分について考えていくベース作りにもつながるように思います。

 

 身体の調子を崩して、仕事を休んでしまったから、二度と仕事ができないというわけではないし、
 足を痛めてしまったから、毎日行なっていたランニングをやめてしまうと、マラソンできないというわけではありませんよね?
 

「目標に向かって進んでいきたい」という気持ちがある限り、
必要なときは努力し、必要なときは休憩し、必要なときはゆっくりなペースでやっていく。
それは、自分自身の目標に近づくために必要なものです。

 

「こうなりたい」
「こうありたい」
という自分を大切に。


有意義な連休を過ごして下さいね。



 



こころのクリニック和−なごみ−
リワークプログラムCRESS


 

 

2013年7月5日金曜日

人に思いを伝えること〜プレゼンテーションの時間〜

今日は、一日蒸し暑い日でしたね。
明後日は、七夕です。
みなさんは、どんな願い事をしますか。

今日は、毎月一度の個人プレゼンテーションのプログラムでした。
個人プレゼンテーションでは、毎回テーマを決め、そのテーマに沿ってメンバーの皆さんに5分間でプレゼンテーションをしてもらっています。

今回のテーマは、「夏」。

一口に「夏」といっても、その切り口は様々です。
今回も、各メンバーが、それぞれ違った角度から「夏」を題材にして、とても興味深い発表をされていました。

・夏バテに焦点を当てた発表では、夏バテを防止するための食事とは何かを具体的に紹介され、そうした食事を通じて家族の繋がりができることを語られました。
・「夏」への想いに焦点を当てた発表では、暑い夏に対するかつての嫌な印象が、好きな夏へと変化した心境や、夏の終わりにある喪失感や切なさを語られました。
・夏祭りに焦点を当てた発表では、世界最大級の盛大な花火大会と、ゆるキャラで有名な由緒ある七夕祭りを紹介され、お祭りへの想いを語られました。
・夏に北海道をバイク旅行されたときの思い出を発表された方は、北海道の地図を描きながら、そこで体験した雄大で厳しい北海道の自然との出会いを語られました。
・夏の納涼スポットを紹介された方は、幻想的で癒しの場所としての夜の海遊館と、背中に寒気が走る幽霊博物館の二箇所を取り上げられ、納涼散策を語られました。
・日本の夏の風物詩である風鈴を紹介された方は、邪気除けとしての意味を持っていた風鈴の歴史と、音も材質も様々な日本各地の風鈴を語られました。

今日は、都合によりプレゼンテーションの時間に来られなかったメンバーの方も、準備をされて、発表要旨を提出してくれていました。以下に紹介すると、
・石垣島での夏の楽しい思い出を発表する予定だったメンバーさんは、美しいビーチやシーサーに出会った旅行記を写真とともに綴られて、次回の石垣島旅行への期待を語る準備をされていました。
・小学校から中学、高校、大学、そして就職と、その時々の夏休みがどういうものだったかを、様々な楽しい思い出とともに発表される予定だったメンバーさんは、今は闘病中の夏休みであるけれども、楽しめる夏と再会することを決意している思いを語る準備をされていました。
・高校時代の部活の夏合宿での思い出を発表する予定だったメンバーさんは、あの夏合宿の厳しい練習を乗り越えられた経験が、病気と戦う自分を支えてくれていること、そして当時の仲間との絆が、今もあることを語られる準備をされていました。

 発表の仕方も、パソコンでパワーポイントを使ってプレゼンテーションする方もいれば、ホワイトボードに文字や図を描く方、そして、原稿を読んで発表するメンバーさんもいて、各人各様でした。

 どの発表も、そのメンバーさんの思いが込められていたと思います。
 あるメンバーさんが言っていました。プレゼンテーションで何よりも大切だと思うのは、「聞いている人に、自分の発表を伝えたいという気持ちである」と。
 確かに、プレゼンテーションでは、「見せ方」は大きな要素でしょう。しかし、発表者が伝えたい思いがあってこと、技術が生きてくるはずです。特別に伝えたい思いも内容もないまま、技術先行で上手いだけのプレゼンテーションをしても、それはおそらく、上っ面なものになってしまうと思います。
 今回のメンバーさんの発表が、各自の個人的な思い出にもとづいていたり、個人的な経験から出発した内容であったのは、その発表に力を持たせていたと思います。
 それは、プレゼンテーションが、その発表者と無関係ではなく、つながっている内容だからです。
 それが、私たち聞く人に伝わり、私たち聞く者の心を動かしました。