2023年1月4日水曜日

2023年が始まりましたね

 新年明けましておめでとうございます。

この間、2022年が始まったと思っていたのに、あっという間に終わりを告げて、2023年を迎えている今の状況に、時の流れを感じています。

 

年始によく耳にする、「今年の目標は?」という問いがあります。皆さんはどうでしょうか?私自身、毎年、声高らかに宣言はするものの、年末になると忘れていることがほとんどです(ちなみに、今年の目標は現在考え中です)。

 

何かの始まりというのは、やる気や期待が自分の胸の中にありますが、忙しい日々を過ごしていく中、いつしか見えなくなってしまいやすいのかもしれません。日々を過ごすというのは、ただ時間が過ぎていくことではなく、置かれている環境・人間関係・自分の気持ち等と向き合っていくことです。それはとても大変なことで、穏やかに過ごせることを求めていても、叶わないことも多いでしょう。

 

私たちは大変なことに毎日向き合っています。その中で、年始に考えた目標というのは、埋もれてしまうのかもしれません。ただ、せっかく立てた目標ですから、大事にしたい気持ちにもなります。

 

目標というのを立てる時、私たちは遠くの星を掴もうとするような、高く・輝かしいものを設定のイメージとして抱きやすいです。ただ、いきなり目的地に飛ぶことはできませんし、自分のスタイルを一変させることもかなり難しいです。どうしたら、自分の立てた目標を達成できるのだろうか。今は何に取り組めるだろうか。どのような方法があるのだろうか。…このように“段階”を意識して取り組むことで、一歩一歩と目標達成へと近づいていけるのではないでしょうか。

 

リワークでもメンバーの皆さんに『私の目標』というものを設定し、取り組んでもらっています。生活習慣の目標やリワークプログラムでの体験の目標、職場復帰を意識した目標…人それぞれに目標を設定し、毎日、取り組まれています。

 

今年の目標も日々の目標も、自分の気持ちがこもっている、自分だけの目標です。段階を意識して取り組むことは、目標に込められた気持ちを大事にし、自分だけの経験・達成へと繋げることだと私は思います。

 

 

 

皆さんの今年の目標はなんですか?

目標に取り組む中で得るものを力に、2023年を歩んでいきましょう。

2022年12月26日月曜日

今年の一文字

2022年もあとわずかとなりました。皆さんにとって今年はどのような一年でしたでしょうか。既に毎年恒例の清水寺での今年の漢字が発表されています。今年は、「戦」とかいて「せん」との発表でした。ウクライナでの戦いを始め、サッカーW杯での健闘など、様々な世相の意味合いをこの一文字に込めて滴められていました。

 リワークでも一年最後の自己分析では、メンバーの皆さんに一年を振り返った自分にぴったりくる文字を考えてもらいます。一文字に限らず、今年一年の自分を見つめ直すことで浮かび上がってくる文字をいくつか挙げてお話される方もおられます。全員で自分の文字を紹介しあって、それにまつわる気持ちをお話いただくと、様々な文字が選ばれて、千差万別な意見をお聴きすることができます。その中で、同じ字を選びながらも、全く違う角度からその字を選んでおられたり、字へのイメージが正反対であったりする驚きがあったり、逆に、全く違う字を選んでおられる数名が、お話を聞いていると、どこか深い部分で共通の想いが語られているなあと感じる発表もたくさんありました。

 メンバーの皆さんもそういった想いのつながりを感じておられたのではないかと思います。

私も皆さんが一文字を選ばれている気持ちを体験してみようと、自分自身の一文字を探してみたのですが、なかなか一年の自分を象徴する字を選ぶのは難しいなあと、皆さんがいかに毎日リワークで心のエネルギーを使って自分自身に向かわれているのか・・・を実感しました。

いろいろな字が浮かんでは消え浮かんでは消え・・・していましたが、犬の散歩をしながら道祖神やお地蔵様を前にしながら、ふと「祈」という文字を思い浮かびました。毎日、散歩しながら今年も一年通る度に、あれやこれやお地蔵様たちに勝手な願いや懺悔をしてきたなあ・・・と思い出しました。

 不思議なことに、ずっと祈り続けてきましたが、振り返ると祈りの内容が非常に変化していることに気がつかされました。葛藤の真っ只中にいる時の祈り、少し渦中から浮き上がりいろいろ見えて来た時の祈り、祈りはどこか感謝であったり、自分への励ましであったり、戒めであったり・・・いろいろにその時その時の自分の心境で変化しながら、お地蔵様の微笑みを借りながら自分との対話をしていたのだな・・・と今年の一文字を考えながら気付かされました。


 リワークでの心の作業は、現実で忙しくし過ぎていると、気づかぬまま通り過ぎてしまいおざなりになりがちな気持ちに向き合う作業です。1人ではないということが、そういった心のエネルギーのいる作業に取り組む後押しとなるのだなと感じました。


 皆さんが来年どのような一文字を選べれるのか・・・

皆さんにとって良き一年となりますようお祈り致します。

2022年12月17日土曜日

今年もあと少し。

 気が付けば師走…という事で今年もあと2週間となりました。どおりで寒いはずですね。この時期になると急に焦り、時間に追われている感覚に陥るのは私だけでしょうか?皆さんは何かやり残したこと、気になったままの事などはありませんか?


 リワークには個人プレゼンというプログラムがあります。月に一度、あるテーマに沿ってイメージすることを5分の内容にまとめ発表して頂きます。今月は“2022年の私”というテーマでした。かなり大きなテーマですし、普通に考えても1年をたったの5分にまとめるなんてとても難しい課題だと思います。またリワークメンバーにとって過去を振り返るという事は、休職経験を振り返ることでもありますから、自ずと厳しい作業になるのです。今年は多くの方が休職とリワークについて触れ、それぞれの経験してきたこと、今経験していることについて真剣に正直に話してくださいました。このテーマをきっかけに過去を振り返り、そして今の自分に繋げようとされているのが伝わり、5分に詰められた言葉の重さ、その人の一年の重さを感じました。メンバーの方々も話せたこと、聞けたことでまたお互いの距離が縮まった感覚があったのではないかと思います。自分の辛い経験を振り返り、それを他人に話すこと、これは大変にしんどい、怖いことだと思います。容易なことではありません。ただ話すことで少し気持ちが楽になったり、誰かが自分を知り理解してくれたという安心感を持てることもあると思います。今このブログを読んで頂いている方の中で、一人で悩むことに疲れていたり、自分の辛さなんて誰にもわからないと孤独を感じている方、ぜひリワークの参加を考えてみてください。決して楽しいことばかりではありませんが、あなたの悩みを一緒に考えようとする人たちがいます。状況は違えど同じ休職という経験を持つメンバーと一緒にこれまでのこと、これからのことを考えてみませんか?


 2022年もあと2週間!もう静かに心穏やかに過ごすのみです…。大掃除…。

2022年12月1日木曜日

“ことば”を使うこと

 黄や赤のきれいに色づいた葉が、はらりはらりと落ちていく様を見ていると、冬の訪れを実感しますね。あんなに暑かった夏が遠い記憶になりつつありますが、皆さまは季節のかわりをどんな風に感じておられますか?

 

今回は、言葉を使うこと、相手に言葉を用いて何かを伝えることについて、最近私が感じたことを書きたいと思います。

 

リワークでは、自分の思いや意見を他者に伝えることを目標に取り組まれている方がいます。それは、休職に至った経緯の中で、相談できなかった自分や、一人で抱え込んでいた自分がいたことに気づかれたからこそだと思います。

他者とコミュニケーションを取ろうと思う気持ちの中には、再発を予防につながるという考えなど、メンバーさんによって、いろいろな目的があると思います。

また、目標を立てて、実際に思いを言語化することに挑戦されている方や、ノンバーバルでのコミュニケーションに頼らず、言葉を使うことを意識されている方の姿を見ることがたくさんあります。

そして、伝えて良かったと安堵している方、言葉にしようと思うけれど、何だか怖くて言葉にできなかった・・・と反省されている方の姿も見られます。

言葉を用いて相手に思いを伝えることに、不安や怖さを感じることは、自然な心の動きでもあると思います。

一方で、怖い・不安ということにとらわれてしまい、相手に思いを伝えることの楽しさや嬉しさを忘れているようにも、私は感じています。

 

私事ですが、言葉を覚えたての小さなこどもが言葉を用いてコミュニケーションをはかろうとする姿を見る機会が増えました。

 

言葉を覚えたての小さな子は、熱心にかつ率直に言葉を使って、思いを表現してくれます。

例えば、朝には必ず「おはよー!」と言いながら駆け寄ってきたり、できないと困ったことを「やってー!」と全力で訴えたり。時には、欲しいものを「ちょうだい」と言ったり、嫌なことには「いやー!」とはっきりと言ったりします。躊躇いなく、言葉を使う姿に感心するばかりです(嫌とはっきりと言われると困ることもありますが)。

そして、「いやー!」ということに、「あらら、嫌なんか〜」と応えると、満足そうにしますし、嬉しかったことや欲しいものを伝えて、それが叶った時には、とても嬉しそうにします。

伝わったという感覚があるからでしょうか、何かがあると、積極的に言葉を使って、自分の意思を伝えようとします。

 

こういった小さな子の姿は、私にとって、「自分の思いを他者に伝えることは、そんなに怖いことではないのかもしれない」と思わせてくれる姿でした。

 

他者に思いを伝えることに、怖さや不安を感じることは、いろいろと考えることがあるからこそ、言葉を使って他者に伝えることをためらう気持ちも出てくるのだと思います。それはとても大切なことです。ただ、ためらう気持ちは自然ですが、伝えるべき時に、自分だけのものにしたり、言葉を使わずに終わったりしてしまうだけでは、なんだか勿体ないなと、思わせてくれたのも、小さなこどもの姿でした。

 

私も今日あった何気ない出来事を誰かに伝えたいと感じたり、悩んでいることを誰かに(私の中では明確に思い浮かべている人がいますが)伝えよう、相談しようと思っています。

2022年11月21日月曜日

木々の葉がきれいに色づいていますね

朝晩の気温がぐっと下がってきました。日中はまだ暖かく感じる時もあるので、紅葉を見ながらゆっくり散歩するのも心地いいかもしれませんね。

紅葉は急激な気温の変化によって、光合成からエネルギーに変換する働きと、そのエネルギーを使って養分をつくる働きのバランスの乱れを保とうとして色づくそうです。

人の体も今のように寒暖差が大きい時期は自律神経のバランスが乱れやすく、いろいろな不調が出やすい時期でもあるので、生活を見直して快適に冬を迎える準備をしませんか。

 

3食食べる…体内リズムを整えたり、体をつくり為に必要なエネルギーを食事から摂取します。体を冷やさないためにも、根菜類や代謝を高める発酵食品、冬が旬の食べ物を選んでみてください。

 

・適度な運動…寒くなってくると活動量も減りがちです。天気のいい日は散歩に出たり、同じ姿勢が続いていれば1時間に5分程度ストレッチ休憩を入れるなどこまめに体を動かすようにしてみてください。夏ほど口渇感が出にくいので水分摂取も忘れずに行いましょう。

 

・入浴…夏場はシャワーで済ませていた方も、40度程度の湯船で10分程度温まってみてください。日中寒さで固まった筋肉をほぐして代謝を上げてくれます。

 

・質のいい睡眠…体を締め付けるような服装は血液循環を妨げてしまいます。ゆったりした服装で、湯たんぽやエアコンなど活用して心地いい環境を整えておきましょう。カーテンを少し開けておくと日の光が入って朝起きやすくなります。

 

情報としては既知のものが多いかもしれませんが、いざ困ったときには思いつかなかったりもします。これからインフルエンザやコロナの第8波に備えて感染対策と体調管理に気をつけて過ごしましょう!

2022年11月4日金曜日

リワークプログラム SST

当院のリワーク・プログラムの1つにSSTsocial skill training)があります。SSTは、主役と脇役数名であらかじめ用意されたシナリオの中で演じてもらうロールプレイの形式で行っています。どの職場でも起こりうるような場面が設定され、そこで立候補によって決まった人たちに役割を演じてもらいます。数名で演じる脇役には用意されたセリフがありますが、主役にはありません。主役は脇役とのやり取りを通して即興で演じることになります。頼りにならない上司、やる気があまり見られない後輩、あるいは周りからの評価が高い同僚など、毎回違ったキャラクターの脇役が登場します。そして、主役はロールプレイが始まるまで脇役からどのような言葉が出てくるかわからない、つまり、ロールプレイの中で自分がどう反応するか事前に準備ができないため、その時感じた素の感情が出てくることが予測されます。主役を演じることは緊張や不安を伴い、勇気のいる決断と言えるでしょう。相手が攻撃的な態度をとってきたら主役の自分はどのように反応するか、依存的に関わってくる後輩がいたらどう接するか、あるいは強引な上司に大量の仕事を押し付けられたら…ロールプレイを通して休職前のストレスが想起されたり動揺が走ったりするかもしれません。しかし、改めて自己のコミュニケーションの取り方について振り返ることができます。戸惑いや動揺だけでなく、もしかしたら思っていた以上に冷静に対応することができる自分に気づくかもしれません。

 

ロールプレイ終了後には、演じた人、その様子を見ていたほかのリワークメンバーたちから気づいたことや感じたことなどをコメントしてもらいます。不安を抱えている主役を見ていた人たちは同じように辛い気持ちになるかもしれないし、攻撃的な上司を見て怒りを覚えるかもしれません。見ている側にとっても、演じている人たちと自分を重ねながら、自分ならどう対応するのか考える機会になります。

 

舞台の上で上手に演ずることが、このプログラムの目的ではありません。演じる人だけでなく見ている人たちも、不安や焦りといった様々な感情をプログラムの中でともに体験することができます。そして共有された体験だからこそ、見ていた人達から伝えられた感想や気づきには重みがあります。メンバー全員でこの時間を共有することで、主役を演じる人にとってのこのプログラムが復職につながるより貴重な体験となるでしょう。

2022年10月14日金曜日

グループ作業で、「ワクワク♪リワーク通信2022年秋号」を作りました

リワークプログラムCRESSのプログラムの一つに、「グループ作業」というプログラムがあります。

グループ作業では、リワークの集団を職場に見立てます。CRESSメンバーが、いわば、職場の同僚に当たるわけです。そして、2ヶ月ほどの期間をかけて、一つのプロジェクトに、CRESSメンバー全員で取り組みます。

具体的には、グループ作業も、CRESSの多くのプログラム同様、毎週1回実施しています。1回の時間は、半日プログラム(105分間)で、これが一つのプロジェクトにつき、10回前後。この決められた時間の中で、一つのプロジェクトの完成を目指すのです。

これまでのグループ作業の成果物は、当院のホームページにすべてアップし、公開しています。


ワクワク♪リワーク通信

タウン誌 和(なごみ)〜こころの寄り道〜

文芸誌オーロラ(Aurora)

響生(きょうせい)メモワール


今回は、直近のグループ作業の成果物を、ご紹介します。

ワクワク♪リワーク通信2022年秋号(No. 30)です。



リワーク通信も、今回で通算第30号になりました。
遡ること、創刊号が2012年秋。これがCRESS初めてのグループ作業の成果物でした。
これまでのメンバーさんたちが作ってくれたリワーク通信には、この10年間のCRESSの歩みが刻まれています。
今回のリワーク通信も、過去の作品の大事な部分を継承した上で、今のメンバーだからこそ作ることができる作品を目指しました。

グループ作業のプロジェクトとその成果物には、共通目標があります。それは、
CRESSの今のメンバーだからこそ発信できる内容にすること。
だから、その内容は必然的に、メンバーがCRESSで経験していることを出発点にしています。
リワーク通信も、まさにそうです。
リワークですから、メンバー全員で復職を目指している集団です。しかし、それは「リワーク」についての天下りの説明です。
もちろん、私たちスタッフは、リワークという集団療法の意義を、復職と再発予防の観点から、説明する言葉を持っています。
しかし、実際にリワークに参加しているメンバー自身は、リワークで何を日々経験しているのでしょうか。

メンバーのリワークでの経験を発信するのが、グループ作業のプロジェクト。
CRESSのグループ作業の成果物は、メンバーが実際に何を経験しているのかを、経験の当事者であるメンバー自身が、外に向けて発信する仕事なのです。

今回の最新のリワーク通信をご覧いただけたら、現在のCRESSメンバーたちの率直な想いの一端が、分かると思います。
リワークで復職に向かって順調に進んでいる、という一面的な内容は、ここにはありません。
在籍期間も年齢も様々なCRESSメンバーが、グループの中で、復職への不安や、リワークの中での辛い経験も含めて、しかし、お互いに影響を与え合いながら、日々リワークに参加していることが、きっと読者の方に伝わるものと思います。
楽しいことも、辛いことも、嬉しいことも、悲しいことも。グループでお互いに関わり合うから、経験する。
休職という痛みの経験を持ったメンバーが、一人ではなく、グループの中で、いろんな気持ちを経験して、それを一緒に考える。
きっと、それが、生きていることなのです。

限られた紙面の中で、CRESSのメンバーが経験を文字にし、絵を描き、一つの作品にする。
手を動かし、心を動かし、交流しながら、仕事をします。
そうすることで、仕事をするからこそ経験できる、いろんな気持ちが感じられます。
楽しいことも、辛いことも。嬉しいことも、悲しいことも。
いろんな気持ちを一緒に考え合えると、もしかしたら、仲間だと感じられるかもしれません。
そんな相手には、感謝できるかもしれない。
リワーク通信で、少しでも多くの方に、CRESSメンバーの取り組みが伝わったら、嬉しく思います。